トントントン...
刃物がまな板を叩く小気味よい音が台所に響く。
小さく輪切りにした長ネギを私は火にかけている味噌汁の中にサッと入れた。
グツグツ煮込まれる魚の煮付けの香りと、
ちょうど炊きあがったご飯の香ばしい匂いが食欲をそそる。
ここに来てからというもの、食事の支度はほとんど私がやっていた。
一人暮らしの長い義父は料理といったものをやらず、
近くのスーパーで買った惣菜と缶ビールなどで適当に食事を済ませていた。
そんなものでバランスの取れた食事など出来る筈もなく、
見かねた私はいくらかの材料費を貰って日々こうして料理をしていた。
別に義父の為にやっている訳ではなく、
弟にちゃんと栄養のあるものを食べさせたいという思いからだ。
私はグツグツと煮立っている煮付けの味を確認する為、
スプーンで軽く煮汁を掬い口に運んだ。
カレイの風味と程よく甘辛い醤油の香りが鼻に抜けた。
「ん......美味しい」
そう独りごちて、コンロの火を弱めて蓋を閉めた。
陽は既にかなり傾いており、窓から目映いオレンジの光が射し込んでいた。
居間の方から聞こえてくる夕方のニュース番組。
恐らく義父がテレビを観ている音だろう。
弟は外に遊びに行ったきり、まだ帰ってきていない。
あと一時間は帰ってこないかもしれない。
(少し休憩しよう....)
そう思い、私がエプロンを外そうと背中に手を回した時だった。
「
里奈、今日は何を作ってるんだ?」
突然真後ろから声を掛けられ、私はビクリと体を震わせる。
居間に居た筈の義父が私のすぐ後ろに来ていた。
両肩にソッと手を置き、耳元で囁く。
逃げ場を失った私は身を硬くして、
「.....カレイの.....煮付けです」
とだけ答えた。
「そうか....良い匂いがすると思ったよ」
そう言ってさりげなく私の肩を両手でさわさわと撫でる。
嫌悪感に更に身を硬くするが、義父は知らん顔だ。
ワンピースの肩紐に指を引っ掛け、スルッと横にズラす。
そのまま腰の裾を掴み、真下に引っ張った。
「......やっ」
ストンと下に落ちる白のワンピ。
私は下着とエプロンだけを残した卑猥な格好にされた。
「....やめて下さい....こんな所で....」
か細い声で義父にお願いした。
台所はいつも私が料理の支度をする場所。
私にとってはいわば職場に近い感覚であった。
そのような場所で悪戯をされるのは感情的に拒否感を覚える。
しかし、当然義父が私のそんな感情を汲み取ってくれる訳もなく、
エプロンの上からグッと小さな胸を鷲掴みにした。
「いやっ.....やめてっ.....」
「こんなイヤらしい格好をしてるクセに何を言ってるんだ」
そう言うとグイッといきり立ったイチモツを私の腰に押し付けてきた。
裸にエプロンという雄の劣情を掻き立てるような格好。
(あなたがやったんでしょっ!?)
そう非難したかったが、立場上あまり強く反発する事が出来ない。
腕の中で暴れて抵抗を試みるが、
後ろからガッチリと抱き締められては大して暴れる事も出来ない。
しばらくもがいた後、結局私は諦めて力を抜き、義父の悪戯に身を委ねた。
私が観念した事を確認すると、またもぞもぞと両手を動かし始める。
薄いエプロンの上からでは乳首の位置が丸分かりであり、
義父は執拗に乳首ばかりを責め立てた。
「.....ふっ.....んっ.....やぁっ.....」
敏感な突起を刺激される事で漏れ出る声。
必死にそれを押し殺し、私は悪戯に耐える。
義父が満足するまで...
いつまでも執拗に敏感な突起を刺激されていると、
私の股間にはジンジンとした痺れるような妖しい感覚が頭をもたげてくる。
感じ始めている事を悟らせない為に、私は出来るだけ反応を返さないように心掛ける。
しかし、時折、ビクリと身体が震える事だけは抑えようが無く、
そんな反応を返す度、義父の息は荒くなっていくのだ。
「どんな料理が出来たか、ちょっと味見させてくれないか?」
唐突に耳元で鳴る重低音の声。
子宮に直接語りかけられるような振動がズンとお腹に響いた。
その声に私は逆らう事が出来ない。
何度も何度も耳元で囁かれる内に、
私はその声がもたらす感覚がクセになりつつあった。
「.........はい」
消え入る様な声で返事をし、私は傍にあるスプーンに手を伸ばす。
弱火で煮ている鍋の蓋を開け、しっかりと味付けされた煮汁を軽くスプーンで掬った。
そのまま義父の口に運ぼうとした時、
「あぁ、口移しで構わないよ....」
そう言ってスプーンでの味見を拒否した。
「....口.....移し....?」
意味が分からず聞き返す。
「そうだ、
里奈が口に含んで私に移してくれればいい」
さも簡単だろうといった風に言う義父。
時間の経過と共にその意味がじんわりと頭に染み込んでくるようだった。
そう、義父は私にキスをしろと言っているのだ。
これまで口付けにはほとんど関心を示さなかったのに...
(私は....この人にどこまで奪われるのだろう.....)
身体を弄ばれるだけではなく、大切なファーストキスまで奪われるのだ。
エプロンの裾をギュッと掴み、逡巡し躊躇う素振りを見せる。
そんな私に、
「
里奈、味見をさせなさい」
今度は疑問系ではなくハッキリとした命令を出した。
その言葉に諦観した私はスプーンの煮汁を口に含み、義父の方を振り向いた。
小さく震えながら、義父の口に顔を近付ける私。
不意にグッと抱き寄せられ、
「ッ!....ンンッ!」
力強く唇を奪われた。
大きな舌が無理矢理口内に捩じ込まれ、私の中を乱暴に掻き回していく。
「んふっ......ちゅっ......くちゃっ.......ぺろ......はむっ.......」
唇が取れるかと思う程の荒々しい口付け。
ファーストキスでありながら、舌と舌を絡ませ合う淫らな口付けを教え込まれる私。
悲痛な感情が胸中に広がり、私は目を瞑る事でそれに耐える。
義父の荒々しい口付けは延々と続き、
口内にはもう煮物の味など綺麗さっぱり無くなっていた。
それでも貪る様に唇を奪い続ける義父。
口の中に広がるのはアルコールの匂いと、義父の放つ加齢臭っぽい体臭。
そこに夕餉の香りが微かに混じっていた。
たっぷりと私の口内を堪能した義父は、
「美味しいじゃないか」
味が分かったのかどうか甚だ疑問を感じる感想を口にした。
私はただ俯き、小さくこくりと頷いた。
褒められても歓喜の感情は全く沸き起こらない。
股間に芽生えた疼くような妖し気な感覚を消そうと精一杯だったから...
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