「はぁぁぁあんっ!!——あッ、んんっ、あああっ!!」
佐野山の指先が乳房の形をなぞる様にしなやかに動いた。
来ると分かっていて、身構えていて尚、嬌声を上げてしまった。
身体がビクビクと不規則な動きをする。
頭がマヒしていく。
グッと揉み込まれながら、乳房を上に押し上げられると、それだけで甘過ぎる痺れが全身に伝わった。
「あぁぁぁぁっ!!あうぅぅんっ......やめっ、やめてぇぇぇっ......」
自分でも情けないと思うような声が出る。
佐野山は両手を使い、
アリアの両乳房を小刻みに揺らし始めた。
微弱な振動がピリピリと脳内に波紋のように広がっていく。
「うぅぅぅぅぅんっ......あうッ、あッ、あッ、あッ......それっ、らめぇっ!」
感じ過ぎて呂律も回らなくなってきた。
「お嬢様ともあろうお方が、何ともはしたない声を......」
やれやれとばかりに
佐野山が溜め息を漏らす。
そして、戒めとばかりに
アリアの乳房をギュッと握り潰した。
「やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!あはぁっ......んんんっ.....あぁッ!」
痛みを感じる程にグニグニと握り潰されて形を変える乳房。
しかし、それすらも今の
アリアの身体は快感へと変換してしまう。
「な......に......っ!?こんなの、おかしっ......あンっ!」
どうにも腑に落ちなかった。
いくら
佐野山のマッサージが巧みだったとして、また自分が欲求不満だったとしてもこれだけ感じるのはおかしいと靄がかった頭で考える。
佐野山が再び、”自家製”らしきオイルボトルを掴み、自分の手の平に垂らす。
その様子を見た時、ふとある考えが頭に浮かんだ。
「はぁ、はぁ、はぁっ......あ......あなたっ、まさかっ......!?」
自分が持っているボトルに
アリアの視線が向けられている事に気付いた
佐野山は、
「フフッ、さすが
アリアお嬢様......察しがよろしゅうございます」
そう言って不敵に笑った。
アリアは長い事この執事と一緒にいるが、
佐野山のそんな顔は今まで一度たりとて見た事はなかった。
「——変なっ......薬をっ!?」
「えぇ、まぁ......」
佐野山は否定する事なく、あっさりと認める。
「勿論、身体に悪い物は一切使っておりません。植物性由来の身体に優しいものです。ただ......」
そこまで言って唇をペロリと舐める。
「興奮を促進するお薬を、少々混ぜてはおりますが」
クスリと笑い、
佐野山の黒縁眼鏡が妖しく光った。
(興奮する、薬っ!?)
道理で異様に身体が火照る訳だ。
胸や尻を撫でられただけで嬌声が漏れる訳だ。
ここまでバラされては、さすがに
アリアは黙っている訳にはいかなかった。
「私にこんな事して、タダで済むと思ってないでしょうね!?」
信頼していた執事を鋭く睨み付けるが、
「えぇ、タダでは済まないでしょうね」
佐野山は一向に気にした素振りを見せず、悠々と手の平にオイルをなじませている。
そして、
「しかし、お嬢様の方こそ。私がここまでの行動を起こしていて、タダで済むとお思いですか?」
「——なっ!?」
丁寧な口調はそのままに、眼光だけは挑戦的なものに変わっていく。
アリアはその目を何処かで見た事があった。
それは、追い詰められて牙を剥く野生の獣のそれ。
「......ク、クビよっ
佐野山!あなたは今日限りクビにするわっ!即刻この部屋から立ち去りなさい!」
蕩けさせられた身体を何とか起こし、胸元を隠しながら
アリアは叫んだ。
使用人でなくなった今、この男に肌を晒す謂れは無い。
「これは随分と手厳しい......では最後の思い出に......お嬢様のその綺麗なお体を、存分に堪能させて頂きましょう」
「ふざけっ——」
叫ぼうとした
アリアの細い肩を、
佐野山は指先で軽くポンと押した。
腰の力が抜けていた
アリアは、たったそれだけでベッドに押し倒されてしまう。
「......やめ......なさいっ」
動かないと分かっていても、後ずさりせずにはいられない。
佐野山の瞳に、獣の情欲が宿っていたからだ。
「これ、以上......私に近付く事は許しません!近付けば大声を出します!」
アリアの必死の威嚇も、
「どうぞご自由に」
佐野山は軽く首を振って相手にしない。
「どの道、本日の使用人は私しかおりません。そういう日を選びましたから......」
その言葉から
佐野山の行動が突発的な情欲に駆られたものではなく、計画的なものだったと知る。
そして、執事としてはあるまじき事に、主のベッドにドカリと座り込んだ。
ギシリとスプリングが軋み、次いでベッドが揺れた。
佐野山は座った勢いのまま、寝そべった
アリアの身体をまたぐように覆い被さった。
「なにを、勝手に......今すぐどきなさいっ!!」
大声で怒鳴っても
佐野山は素知らぬ振りをし、
アリアの頬に手を伸ばし、こう言った。
「どうですか?こうしてお喋りをしている間にもどんどん身体が敏感になっていってるんじゃないですか?そういう薬ですし」
さわりと頬を撫でながら余裕たっぷりに言う。
確かに
佐野山の言う通り、頬を撫でられただけでも心地良い痺れを感じた。
乳首もジンジンと痛いくらいに疼いている。
ちぎれる位強く抓って欲しい......
そんな願望が頭の中に浮かんでは消え、浮かんではまた消えていく。
「さて、お嬢様。質問の時間です。どこを触って欲しいですか?その可愛いお口でお答えになって下さい」
ゾクリと背筋に青白い閃光が走る。
——ドコヲ——サワッテホシイ?——
「あっ......あぁっ...........何処も......触って欲しくなんか......」
思わず零れそうになった誘惑を振り解き、何とかそれだけを口にする。
しかし、
アリアのそんな想いは
佐野山にはお見通しのようで、
「フフッ、そうは言いましてもお嬢様......イヤらしい汁が下のお口からだだ漏れでございます」
耳元で囁き、
アリアの下腹部へと指を滑らせた。
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