「フェラチオ......ですか.....?」
「そうです。口腔奉仕の基本であり核となるもの。それがフェラチオです。これが嫌いな男性は居ないとも言われています」
「そう......なんですね......」
「鷲男様も例外ではありません。ゆえにこそ必修。
麻衣様にはこれからフェラチオのやり方をお教えします」
「......分かりました......それで、具体的にどうすれば......?」
怯えた様子を見せる
麻衣に、
「実際にやりながらの方が分かりやすいでしょう」
藤堂は持っていたケースから棒状の、しかし伸縮性に富んだウネウネと不気味に揺れ動く不気味な物体を取り出した。
表面はツルっとしているが、所々で凹凸した箇所も見受けられる。
肌色のシリコンをギュッと固めたような素材で出来たそれは、触ると軟らかそうでもあった。
「これを見た事は?」
「......ないです」
「これはディルドと呼ばれるもので、主な用途は女性のマスターベーションに使います。バイブレーションと違うのは吸盤が付いていて固定出来る事と、電動装置が付いていない点でしょうか。そしてこのディルドは色、形、手触りがより男性器に近いものになっています」
「マスターベーション......」
スラスラと説明されてもいまいち頭に入ってこない。
「持ってみて下さい」と言われ、
麻衣はディルドなるものを手渡される。
予想通り、触ると軟らかく手触りも悪くない。
しかし、見た目がどうにも
麻衣には受け入れ難いものだった。
「気持ち悪いですか?」
「えっ?......あっ、その......」
心を見透かされたようで
麻衣は狼狽えてしまう。
「ハハッ、顔にそう書いてあります。ですがまぁ......無理はないでしょう。好きな男性のものならともかく、模造品とは言え、男性器をいきなり見せられてそれを可愛いと思える女性は少ないですから」
「しかし......」、と言って
藤堂は顔と口調を引き締めて言う。
「酷な言い方かもしれませんが、慣れて頂くしかありません。
麻衣様は鷲男様に”買われた”のですから......」
そう言われて
麻衣は改めて自分の立場を思い知った。
(そうだ......私はあの男に......)
悪い夢だと思いたいがこれは現実なのだ。
受け入れなければならない。
家族の為、自分はこの身を売り渡したのだと。
「大丈夫です......やります......」
麻衣は唇を噛み締めながら決意した声で呟く。
他の調教師がどういう調教をするのか
麻衣には分からなかったが、昨夜の
藤堂の接し方から、かなり自分に気を遣っているという事だけは何となく分かった。
もっと
麻衣を乱暴に扱う事だって出来ただろう。
罵声を浴びせ、頬をはたき、無理矢理にでも調教していく事が。
そして彼にはそれだけの権限が与えられている。
だが、彼はそれをしなかった。
SEXの良さを教える為に丁寧に接してくれた。
いまだその良さを理解したとは言えないものの、少なくともその気持ちには応えたいと
麻衣は思っていた。
「その男性器を口で舐めたりしゃぶってあげたりするのが口腔奉仕であり、フェラチオと呼ばれるものです」
「しゃぶ...る......あの時みたいに......?」
麻衣には昨日の光景がありありと目に浮かんでいた。
鷲男の股に顔を寄せ、その醜悪な一物に奉仕していた少女の姿が。
藤堂は
麻衣の様子が変わった事をすぐに察知してはいたが、しかしそれでも続ける。
「そうです。そのディルドはかなり男性器に近いのでイメージしやすいでしょう」
そこで言葉を区切り、目を静かに閉じ、また開く。
「ではまず最初の挨拶からです。ペニスに向かって『ご奉仕させて頂きます』と一言、そして軽くキスをして下さい」
「そ、んなっ」
恥ずかしい事を!と言い掛けて止める。
今さっき”やる”と決めた事を思い出したからだ。
麻衣は一度口を引き結ぶと、震える唇を開いた。
「あのっ......ご奉仕、しますっ......」
「もう一度。『ご奉仕させて頂きます』です。向こう側に殿方が居るとイメージしながら言って下さい」
「——っ!................ご......ご奉仕させて頂きますっ!」
麻衣は顔を真っ赤にして、振り絞るように言った。
「いいでしょう。では従順なメスの証、ペニスに口付けを......」
そう言われて
麻衣はディルドにそっと口を付けるが、
「駄目です。キスの音をしっかり出して下さい」
すぐに
藤堂に駄目出しされてしまう。
「ごめん、なさい......」
藤堂に言われ、もう一度キスをする。
これまでキス音を意図的に出した事のなかった
麻衣は、上手く音を出す事が出来ず、何度目かのキスでようやくの及第点が出た。
「まぁいいでしょう。では根元を優しく手で掴み、下から上に向かって男性器を舐めて下さい」
「は...い......あの、これは手順みたいなものですか......?」
「手順、ですか......」
フムと
藤堂は顎に手をやり考える。
「男性の場合、どのような手順で性器を愛撫するか?という事よりも、むしろ視聴覚的な効果やシチュエーションの方により興奮を覚えます」
「???」
「女性である
麻衣様には感覚的に理解しにくいかもしれませんが、即尺という言葉がある通り、いきなり口に含んでも、手でしごいてもペニスを勃起させる事は可能です」
「はぁ......」
「男性の性欲は、一瞬で燃え上がるという事です」
「そういう......ものなんですね.....」
男性である
藤堂が言うのであればそうなのだろうと
麻衣は納得する。
「つまり、さっきの言葉を含めた一連の流れは、より燃え上がらせる為に必要な儀式だと言ってもいい。まぁ
麻衣様のような美少女にお口でして貰える、と考えただけで勃起する男性も居るでしょうが」
麻衣は自分を例えに出されて恥ずかしくなり、顔を赤くして俯いた。
「と言っても手順やテクニックが不要という訳でもありません。やはり男性が勃起しやすい手順というものも存在します。焦らず順番にやっていきましょう」
麻衣はコクリと頷き、男性器を模したシリコンの棒に意識を向けた。
「さっき言ったように、根元から上に向かって男性器を舐めて下さい」
「はい......」
素直に返事をし、
麻衣は紅い舌をほんの少し出して、恐る恐るディルドの根元に舌を這わせた。
シリコンの無機質な味が舌に広がった。
「そのまま舌を転がしながら上に」
麻衣は言われた通り、慣れない舌使いでディルドを舐め上げていく。
舌が乾き、その動きはすぐにぎこちないものになっていった。
「舐めにくいのであれば、一度舌を引っ込めて、唾液を舌にたっぷりまぶしてから舐めてみて下さい」
麻衣は舌を引っ込めると、口の中にある唾液を舌の上に乗せるようにして絡めた。
そして、再度ディルドに顔を寄せる。
今度はさっきよりもスムーズに舌が動いた。
「いいですね。舌先にもっと力を入れて、上下左右に、円を描いたりと不規則に動かしてみて下さい」
「は......い......」
小さく返事をすると、指示に従い舌を絡め動かしていく。
たっぷりと舌に唾液を乗せたせいか、口の端からダラリと涎が垂れ落ちてくる。
顎を伝ってドレスにまで垂れていくが、今はそれを気にしてはいられなかった。
それよりも今自分がとても恥ずかしい事をしている、させられている。
そっちの方が遥かに気になり、
麻衣は顔が火照るのを止められなかった。
羞恥のあまり、思わず目を閉じてしまった
麻衣に向かって、
「目は閉じないで下さい。行為の最中は出来る限り男性の顔の方を見るようにして下さい。そうすれば男性の征服欲を刺激し、満たす事が出来ます。言ったでしょう?男性は視覚的な効果でも興奮すると......
麻衣様のその可愛らしい目で男性を見つめ続けて下さい」
「そんなの......恥ずかしいです......」
このようなはしたない姿を見せるだけでも恥ずかしいのに、ましてやフェラチオしながら男性を見つめ続けるなど。
「しかしそうやって恥じらう姿こそ男性が、そして鷲男様が求めるものなのです」
「..............分かりました......頑張ります......」
そう言って
麻衣はまた健気に舌を這わせる。
慣れない手付き、慣れない舌使いで懸命に男性器に見立てたディルドを刺激していく。
いつかコレと同じ形をした本物をしゃぶらなければならず、そして自分の身体の中にもコレが入るのだ、と思いながら......
舌がディルドのてっぺん、すなわち亀頭部分に来た時、
麻衣はこれからどうしてよいか分からず、
藤堂の方を不安気に仰ぎ見た。
「咥えてみて下さい」
そんな
麻衣に対して、
藤堂は短く指示を出す。
「んっ.......」
麻衣は口を開くと、最も大きく膨らんだ亀頭部分を口内に納めていく。
(......っ、口の中、いっぱいになって、顎......痛い......)
「そのまま前後に頭を振ってみましょう。決して歯を立てないように」
亀頭を口に含んだまま、
麻衣は小さく頷く。
顎が外れそうに痛く、息苦しくもある。
だが
麻衣は
藤堂の指示通り、懸命にディルドを飲み込んでいった。
飲み込んだ後も次々と指示が飛んでくる。
唾液を絡ませろ、舌を動かせ、頭の振りが遅い、目線が下がっているなどといった指示。
困惑し、戸惑いながらも何とかそれに応えていく
麻衣。
しかしまだ行為自体が恥ずかしいのだろう、その顔はずっと浮ついたように火照っていた。
そんな少女の姿を見ながら、
藤堂は思う。
(それでいい......これは淫乱にする調教ではない。羞恥心を残しつつハードな性交渉に耐えられるようになる為の調教......)
女を、いや人間を性の虜にさせる事は、実はそう難しくない。
薬漬けにして犯りまくればいい、それだけの話だ。
だが、そうなっては鷲男はすぐに興醒めしてしまうだろう。
壊れた少女と同じように、ただの淫乱なメス豚に堕ちた少女は、ここより更に劣悪な環境に放り捨てられ悲惨な末路を辿るのだ。
自我を保てばこそだ。
”年齢”を重ねて”少女”としての価値を失った時、ようやく元の世界に戻れる可能性が生まれるのだから。
もしくは......
もう一つの可能性を頭に描き、しかしすぐに打ち消す。
藤堂はそれを実行する気も
麻衣に教える気もサラサラ無かったからだ。
自分の仕事は
麻衣を鷲男好みの少女に仕立て上げる事。
それ以外を考えていては自分の方が足下を掬われる。
考え事をしながらも、
藤堂は
麻衣にフェラチオの技術を伝えていく。
「口に含んだら、頭を前後に動かして下さい。わざとらしくない程度に音を立て、舌と口全体を使って刺激する事。口腔内から空気を抜けば真空状態になりますので、そうするとより強い刺激をペニスに与える事が出来ます」
「......は......い......チュッ、ジュルチュ......あ......むっ......チュ......ンンッ!」
根が素直な為か、
麻衣の飲み込みは驚く程に早いものだった。
「顎が疲れたら手淫に切り替えて顎を休ませて下さい。男性を射精に導く時に大切なのは、緩急をつけながら何らかの刺激を常に与え続ける事です」
舌使いがある程度上達した所で、ディルドを壁に固定し、手と口両方を使ったフェラチオを教え始めた。
最初は頭と手の動きがバラバラでぎこちないものだったが、時間と共に
麻衣はすぐにコツを掴んでいった。
これならと思った
藤堂は、更なるステップを
麻衣に告げる。
「いいでしょう。次はフェラチオの本番です」
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