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【乃木坂妄想倶楽部】~美少女コレクター~ 第十一話 フェラチオ奉仕3



 近付く程に強くなった悪臭に、麻衣は顔を背ける事だけはかろうじて堪えたが、眉根に皺を寄せてしまう事だけは堪えられなかった。

 チラリと相手の顔を伺うと、ニタニタと鼻の下を伸ばした下品な顔が麻衣の瞳に飛び込んできた。

 今から自分はこの下品で汚らしい男に奉仕をしなければならないのだ。

 そう思うと胸の内一杯に悲しみが広がった。

 しかし麻衣は気丈にも顔を上げると、男の方を仰ぎ見ながら、

「ご奉仕......させて頂きます......」

 教わったその言葉を口にした。

「おう、頼むぜネーちゃん」

 五十代半ばぐらいであろう男はそう言うと、自身のベルトに手を掛け、カチャカチャと音を立てて自らズボンとパンツを脱ぎ始める。

 あっという間に剥き出しになった男のイチモツが体の中心からダラリとぶら下がっていた。

 ズボンを下ろすとこれ以上は無いだろうと思っていた悪臭が更に強くなった気がした。

 本当なら、こんな見ず知らずの浮浪者に奉仕などしたくない。

 しかし、自分は身売りされた身の上なのだと先程強く藤堂に意識させられたばかりだ。

 麻衣はそのほっそりとした細く美しい指を男のイチモツに伸ばし、やんわりと絡めていく。

「......おおぅ」

 触れた瞬間、男が恍惚に似たうめき声を漏らした。

 少女の奉仕を待ち焦がれているかのように、ペニスがビクンと上下に揺れた。

「こんなベッピンさんにシテ貰えるなんてなぁ」

 この世の幸運を独り占めしたかの様な声で男が呟く。

(ちゃんと......やらなきゃ......)

 男のペニスを手の平で優しく包み込み、ゆっくりと持ち上げその先端に顔を寄せていく。

 藤堂に教えられた通り、挨拶のキスをする為だ。

 益々強くなっていくチーズの腐ったような臭いが、全身の皮膚から染み込んでくる不快な錯覚を覚えた。

 男のイチモツまで僅か数センチという所で麻衣の動きが急に止まる。

 自分はこれからとても大切なものを失う様な気がしたからだ。

 自然と目の前が霞み、お腹の奥の方から得体の知れない何かが込み上がってきた。

(......イヤだ......やりたくない......っ!)

 家族の為と今まで押し殺してきた感情がワッと溢れ出てくる。

「おいおい、ネーちゃん泣き出しちまったぞ!?」

 男は不安気に藤堂の方を見るが、藤堂はそれに対して何も言わない。

 ただ腕組みをし、仮面を貼付けたかのような無表情で麻衣を見ていた。

「......うっ......ひっ、く......」

 泣いた所で何かが変わるなどとは思ってはいない。

 だが、悲しさなのか悔しさなのか判別つかない感情がグルグルと渦巻き、涙と共に溢れ出てくるのが止められないのだ。

 とは言え、藤堂がここで、こんな場面で助け舟を出すとは到底思えなかった。

 鷲男の時と違って、これは彼が麻衣に命じたものだから。

 逃げ道の無い袋小路の中で、麻衣が出した答えは......

 麻衣は一度目を閉じると、溢れかけていた涙を瞳の奥にしまう。

 そして、キッと顔を上げ、男のイチモツと再度対峙した。

 何度見ても好きにはなれない姿形をしている。

 だが、そんな事を今更言っても仕方がない。

(やるしか、ないんだ......!)

 脳裏で浮かぶのは家族達の顔。

 もう一度あの温かい団欒を取り戻す事を夢見て、麻衣は心を決めた。

 細かく震えながらもゆっくりと、しかし確実に男のモノに近付いていく。

 そして、唇を少し尖らせると、その先端へ口付けをした。

「取り乱してしまい、申し訳ありません......ご奉仕、続けます......」

 藤堂から渡されたディルドと呼ばれる物と、目の前の男のモノとは形状が明らかに違う。

 麻衣の記憶では先端はでこぼこと括れており、大きく隆起していた。

 しかし、麻衣の手の中にあるモノは先端が細長く薄い皮のようなもので覆われていた。

 しかもディルドの様に硬くはなく、フニャリと柔らかい。

 麻衣は形と硬さの違いに戸惑いながらも、懸命に藤堂に教えられた事をこなしていく。

「おおぅ......ネーちゃんの手、スベスベしてて気持ちいいな......」

 シュニシュニと棹の部分を前後に擦ると、それだけで中年の男は気持ち良さげに声を漏らした。

「——ッ!」

 前後に擦り出すと、男のイチモツは麻衣の掌の中でどんどんと大きさと硬さを増していった。

 男性のペニスが勃起していく様を間近で、しかも自分の手の中で感じ、出かけた悲鳴を寸での所で止める。

 大きくなった後も、あのペニスに模した玩具とはどこか違う。

 何処がどう違ってて、何故違うのかはよく分からなかったが、しかしどの道ここに居る男達を満足させなければこの部屋からは出られないのだ。

 浮かんだ疑問符を飲み込んで、いざ口腔奉仕をしようと麻衣がペニスに顔を近付けた時、男が不意に声を掛けてきた。

「ネーちゃん、俺包茎なんだよ。皮剥いてくれや」

「ホーケイ......?皮を、剥く......?」

 聞き慣れない単語に麻衣は男を見上げて不安気に尋ねる。

「なんだ、包茎も知らねぇのか?って事は見るのも初めてか?」

 中年男の言葉に麻衣はコクリと頷いた。

「へへ、しょうがねぇな。オジサンが教えてやるよ。......ホラ、先端の所、皮被ってるだろ?こういうチ○コの事を包茎っつうんだ。敏感な先端を守る為の皮だな。でもな、亀頭が隠れてたんじゃ快感も半減しちまう。だからフェラチオする前に剥いて欲しい訳さ」

 男は自分のペニスを指差しながらガサツな言葉遣いで麻衣に教えていく。

「根元から引っ張りゃ簡単に剥けるよ。まぁ自分でも剥けるんだがな。どうせならネーちゃんのその綺麗な手でやってもらいてぇのよ」

 男はニヤニヤと下劣な笑みを浮かべたまま、ペニスの扱いに慣れていないウブな少女を視姦するように見詰めていた。

「根元から......引っ張る......」

 男のそんなイヤらしい視線に麻衣は気付かず、素直に男の指示に従った。

 とりあえず絡めた指先に力を込め、グイッと男の方に向かって皮を引っ張ってみる。

 しかし先端の皮は思いの外、亀頭部分にベッタリと張り付いており、縦に亀裂の入った赤黒いものがほんの少し顔を覗かせただけで、大した変化は無かった。

「もっと強く引っ張らねぇと俺のムスコは出てこねぇぞ」

 麻衣にとっては意味不明でオヤジ臭い台詞だったが、本人は至って満足げな顔をしていた。

 もっと強く、もっと強くと男に急かされながら、麻衣は言われた通り指先に更に力を込めていった。

 こんなに強く握っては痛いのではないか?と思う程強めに引っ張ってみる。

 すると先端に張り付いていた皮がようやく剥がれ始め、黒ずんだ亀頭部分がズルリと麻衣の眼前に現れた。

「——ヒッ!」

 突如として現れたおぞましく不気味な亀頭に、麻衣は我慢していた悲鳴を遂に上げてしまった。

 それは確かにあの手渡されたディルドと同じ形をしていたが、玩具とは全く違う奇妙な迫力があった。

 棹の部分は青い血管が幾筋も浮き上がっており、亀頭部分は赤く腫れている。

 先端のくびれた所には、何やら白っぽいカスが大量に付着していた。

 皮を剥いた事で悪臭の方も一段と強くなっている。

 ここに来る前に食事でもしていたら胃の中の物を全てぶち撒けていたかもしれない。

 それ程の吐き気が麻衣を襲っていた。

 しかし、不幸中の幸いか、或いは藤堂の配慮か、麻衣は数時間程何も口にしていない。

 その為、込み上がってくるのはツンと喉奥を刺激する胃液だけだった。

「あぁ、しばらく風呂入ってねぇから大分汚れてんな。ネーちゃん、その可愛いお口で綺麗にしてくれや」

「——っ!?」

 麻衣はその言葉を聞き、驚愕に目を見開いた。

 藤堂からハンカチでも借りて綺麗にしようと思っていた所にそんな事を言われたからだ。
 
 目の前のカスはいわば汚物、体から出てくる汚らしい垢と同じもののように思う。

 それを自分の口で、舌で綺麗にしろと言っているのだ。

 あまりの仕打ちに、麻衣はつい藤堂の方を振り返って見る。

 しかし最後の希望である藤堂は静かに腕組みをしたまま、麻衣を見詰め返すだけだった。

「.............っ!」

 無言で見詰め返す藤堂の姿に麻衣は全てを悟る。

 彼が何も言わないという事は、すなわち”やれ”という事だと。

 そして、

「......私の......お口で......綺麗にします」

 消え入るようなか細い声でそう言った。



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