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血の繋がり【3】

今度のキスは最初と違い長く、とろけるように甘い。

互いの心を確かめ合うようなキスだった。

俺の心は光に溢れ歓喜に震える。

このまま溶け合って一つになってもいいとすら思える程の愛おしさ。

言葉を交わさなくても互いの心と心に触れ合っているかのような感覚。

それは俺達が双子だからなのかもしれない。

アイの気持ちが、想いが、唇を通して俺に流れ込んでくるかのようだった。
俺達は決して正しい事をしている訳ではない。

世間一般でいうノーマルな道から外れていっているのかもしれない。

しかもその道は一方通行で、二度と戻れぬ茨の道だ。

けれど、自分の気持ちに嘘をつかず、逃げずに向き合った時、

これ程の喜びと愛情に満たされるのであればそれでもいいと思った。

アイと一緒なら俺はどんな道でも突き進む。

どんな地獄にでも堕ちてやる。

例え世界中が俺達を否定しても、


必ず俺がアイを守る....!


目を閉じているのでアイが今どんな表情をしているか分からない。

同じ気持ちだったらいいなと思った。

瞼の裏に描くアイの姿はいつも儚気で消えてしまいそうだ。

今この瞬間、この場所でキスをしているにも関わらず、

そこにアイがちゃんといるかどうか不安になった。

俺はアイの姿を確認するようにうっすらと目を開ける。

アイはさっきまでの俺と同じ様に目を閉じていた。

長い睫毛、スッと通った鼻筋。目尻の下にあるホクロ。

猫のように悪戯っぽいアーモンド型の瞳。

病的に白く透き通った素肌。

絹糸のように細いショートカットの髪。

今にも壊れそうな白銀の花は、しかしそれ故の美しさを放っていた。

俺が知っている妹は、

アイは間違いなくそこに居た。

十数年切に想い、大事にしてきた妹だ。

この世のなにものよりも、かけがえのない人はここに居る。

当たり前とは言え、俺はそこにアイが居る事、

ただそれだけの事に胸を撫で下ろす。

しかし、ホッとしたのも束の間、

俺が目を開けた気配につられてアイも閉じていた目をうっすらと開けたのだ。

次の瞬間、アイの白い頬に瞬く間に朱色が差し、

「......っ!」

驚いたように口付けを止めて体を離す。

アイが俺から離れた寂しさと先程まであった温もりが体に残った。

「.......ちょっと!.....何で目開けてるのよ!?」

顔を真っ赤にして怒っている。

それすらも可愛いと思えるのは俺がシスコンだからかもしれない。

アイがどんな顔してるか知りたくて...」

半分本当で半分嘘。

アイが消えていないか確かめたかったなんて言ったら笑われるだろう。

「キスしてる時に目を開けるなんてマナー違反だよっ」

「......そうなのか?」

(マナー違反なのか?)

キスはおろかアイ以外にまともな恋愛をした事のない俺は

その辺の事情とやらがよく分からない。

「...その.....恥ずかしいじゃん...」

頬を小さく膨らませプイッと横を向いて拗ねる。

(いや、もう可愛いとしか言い様が無い...)

その時、開いた窓から一陣の風が部屋を通り抜けた。

カラッとした涼しい空気。

風の存在を報せるように純白のカーテンがハタハタと揺れ動いた。

アイが目を細め、同時に栗色の髪がサラリとなびく。

目に髪が入らないように右手でそっと押さえる様は、

何だかとても大人びていて俺をドキッとさせた。

着ていた白い寝間着も一緒になって揺れると、一瞬アイの存在が希薄になる。

このまま風がアイを連れ去っていきそうな気がして...

アイ....行くな...!)

言いしれぬ不安に心が凍り付く。

思わず俺は飛び付くようにアイを抱き締めた。

目をクリクリと動かし驚くアイ

「...ちょっ!........急にどうしたの?」

「......どこにも行くな」

俺は自分の感情の源泉が分からず、

とにかくアイを強く抱き締める事しか出来ない。

「ここにいるじゃない」

そう言って俺の頭を細く小さな手でそっと撫でる。

まるで母親の様な仕草を見せるアイの声は、柔らかく、それでいて温かい。

言いようのない不安を少しずつ溶かしていくようで...

俺はこのままアイと一つになりたいと思った。

心からそう願った。

アイ......っ....」

しかし妹の名を呼び、その顔を見た時、俺は言葉に詰まってしまった。

それは純粋な愛情からなのか、

ただの男の欲望からなのか判別出来なかったからだ。

もしただの欲望なら、そんなドス黒い感情でアイを汚したくないと思った。

そして俺達は血の繋がった兄妹。

許されざる行為、禁忌だ。

(それを飛び越える勇気が今の俺には...)

「.............。」

俯き、無言になってしまった俺の顔をアイが下から覗き込むように見る。

「今、ユウくんが何をしたいって思ってるか当てようか?」

その言葉にドキリとし、今度は俺が目を瞬かせる。

悪戯っぽい笑み。蠱惑的な瞳。

どうやら何もかもお見通しらしい。

「...心を読むな」

俺は照れ隠しにアイのおでこをコツンと小突いた。

双子の場合、こういう時やっかいだなと思った。

気恥ずかしさに俺達は顔を見合わせてクスクス笑い合った。

そして、アイが俺の首に手を回し耳元で囁く。

「......いいよ」

難儀な事だ。

隠し事が全然出来ない。

けれどそれを差し引いても、俺はアイが双子で良かったと心底思えた。



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