「ただいまぁ......」
静謐な空気が漂う家の中心に向かって挨拶する。
居間の方から微かに聞こえるテレビの音。
それは義父が家にいる事の証でもあった。
弟が観ているという可能性もあるが、基本的に弟は義父の事を怖がっており、居間にはあまり近付かないのでテレビを観ている事も少ない。
玄関で丁寧に靴を揃えると、ギシリと歩く度に音のする廊下をなるべく静かに歩く。
出来ればこのまま弟との共同部屋まで向かいたい所だったが、
「おかえり、
里奈」
居間を横切る瞬間に義父に声を掛けられてしまった。
「あ、ハイ。今戻りました......」
なるべく目を合わせないように、義父の方を見ないようにしてその場をすぐ立ち去ろうとするが、
「ちょっと、こっちにおいで」
有無を言わさない声で私を呼び止める。
”こっちにおいで”
その言葉の後に何度私は悪戯をされてきたか分からない。
その言葉を聞くだけで、心は凍り付き、ゾクリと背中に悪寒が走る。
「............ハイ」
逆らう事も逃げ出す事も無意味だ。
”私達”の住む場所はここしかないのだから。
制服のまま、義父のいる居間に入ると、テーブルを挟んで向かい合わせに座った。
「今日は、月曜日だな」
「そう、ですね......」
「何か忘れてないか?」
義父の意図をいまいち計りかねた私は、今日という日に何か特別な事でもあったかと頭を巡らせる。
しかし、一向に思い付かない私に、
「今日はゴミを出す日だ」
あっさりと答えを言った。
「あっ!?......ごめんなさい......忘れていました......」
前の日、遅くまで勉強をしていた事もあって、今日は遅刻寸前まで眠ってしまっていた。
バタバタと身支度をしたせいで、朝ゴミを出すのを忘れていたのだ。
「燃えるゴミはお前の担当だろう?」
「ハイ......ごめんなさい......」
射るように糾弾してくるその声に、私はただ謝る事しか出来ない。
そして、私は分かっている。
謝った所で、丸く収まる訳がない事も。
「
里奈、分かっているな?」
「................ハイ」
何をされるのかまでは分からないが、それはきっと——
「こっちに来なさい」
そう言って立ち上がった義父の後を、俯いたまま付いていく。
その足は一直線に義父の部屋に向かっている気がした。
前に出す一歩一歩がやけに重たく感じる。
鉄の塊が喉を通り、胃の中にドスンと落ちたような息苦しさ。
監獄にでも入れられる囚人の様な気持ち。
これから私は——罰を受ける。
「入りなさい」
立ち止まった義父が促すように自分の部屋に招き入れる。
初めて入った義父の部屋は、ムワッとしたお酒臭さと加齢臭の臭いがした。
日の当たりにくい部屋で、薄暗くて何だかジメッとしている。
あまり掃除の行き届いていないこの部屋は、お世辞にも清潔とは言い難かった。
あちこちに転がったビールの空き缶、脱ぎ散らかされた服、変色した古本。
長年体重を支え続けて厚みを失いベチャっとした布団。
ひっくり返したら、その下から見た事もない虫が飛び出してきそうだ。
どれ一つとっても嫌悪感の塊のようなものが、この部屋には密集している。
今すぐ飛び出してしまいたい衝動を何とか抑え、部屋の真ん中に立ちすくむ。
(一体......これから......)
何をされるのか分からないという事が恐怖と不安を煽っていく。
義父は何も言わず、部屋の押し入れへと向かうと、スライド式の戸に手を掛け横に引く。
ガタガタと音を立てて開く押し入れの扉。
開かれた押し入れに目を向ける。
上下に分けられた押し入れの下の部分には、みっしりと荷物が入っていたが、上の方には何も入っていなかった。
義父は押し入れの方を向き軽く顎で指すと、
「入りなさい」
短くそう言った。
「......入......る?」
何の為に?
浮かんだ疑問に義父は答える事なく、
「入りなさい」
全く同じ調子で、同じ言葉を繰り返した。
「............ハイ」
拒否権を持たない私は、ただ義父に促されるままに押し入れに近付く。
ポッカリと口を開けた薄暗い押し入れの中は、さながら化け物が棲む洞窟のようだった。
両手を付き、片足を上げ、何も入っていない上の段に昇る。
入った瞬間、鼻につく埃っぽさとカビ臭さ。
その不快さに思わず顔をしかめた。
入る時に付いたのか、スカートに付着した埃を私は両手で払った。
「ちょっと待ってなさい」
そう言って部屋に隅に置いてある、古めかしい木製の箪笥を開き、ゴソゴソと何かを探り出した。
これか何が起きるのか、心がザワついて落ち着かない。
カビ臭くて居心地の悪い押し入れの中というのもそれに拍車を掛けている。
やがて、探し物を見付けた義父がこちらに戻ってくる。
その手には、粘着テープのような物と、何に使うのか全く用途の分からないピンク色の球体。
そんな物で一体どんな罰を与えるというのだろうか?
「
里奈、脚を開きなさい」
突然飛ばされた命令に私は狼狽えた。
義父に裸を見られた事も、触られた事もある。
何度も......
しかし、何度された所でそれは慣れるものではなく、当然、異性の目の前で脚を開くという事にも抵抗を覚える。
「——えっ......あの......?」
「さっさと脚を開きなさい」
まごつく私に、いつものように威圧感のある声で命令する。
「わかり......ました......」
結局、どれだけ逡巡しようが、狼狽えようが、私は義父の命令に従うしかないのだ。
弟の、為にも......
ゆっくりと両脚を開いていく。
恥ずかしさに身体が火照り、悲鳴を上げる。
義父の目が、食い入る様に私のスカートの奥を覗き込んでいる。
例え義父の方を見ていなくても、その強烈な視線は感じるものだ。
(恥ずか......しい)
両脚をこれ以上開けない程、左右に広げる。
今頃は、義父が指定している白の下着が丸見えになっているだろう。
女として、人として恥知らずの格好......
ひとしきり無遠慮に私の股間を眺めた義父は、両手をスカートの中に差し入れ、パンティーをズルリと引き摺り下ろした。
「い......やっ......!」
反射的に漏れる声、開いた両脚を閉じて抵抗を示すが、
「足は開いてなさいと言っただろう?」
そう言ってグイッと無理矢理私の足を広げた。
「んんんっ.......やぁ......」
曝け出された秘部を見られる羞恥をどうしても抑える事が出来ない。
どれだけ恥ずかしがっても、義父を喜ばせるだけだと分かっているのに......
義父は脇に置いていたピンク色の球体を、私に見せ付ける様に手に取った。
「それ......は......?」
得体の知れない未知の道具に恐怖心が沸き上がる。
「ローターだよ」
珍しく私の質問に答えてくれたが、ローターと言われても何に使うのかやっぱり分からない。
「使えばすぐに分かる、里奈の身体でな」
それ以上の質問は許さないと言わんばかりに短くそう言って、ピンク色の球体を私の最も敏感な所に押し当てた。
「——ッ!?!?」
いぶかしむ私を他所に、その球体を粘着テープで固定した。
一度ズリ下ろしたパンティーを元に戻し、今度は制服の上着を脱げと命令してくる。
義父の命令にコクリと頷き、股間に感じる異物感に顔を歪ませながら上着を脱いでいく。
続いてシャツのボタンを外すように言われ、それに従う。
最近、少しずつ膨らみ始めた胸と、それを覆い隠す白いブラが姿を現す。
「......うぅ」
私は泣きそうになりながら、肌を晒す羞恥に耐える。
義父は私のブラに手を伸ばし、上にズラすと、同じ様にピンク色の球体を両方の乳首に取り付けた。
そして、また衣服を元に戻す。
私の身体から球体に繋がった三本の導線が飛び出している格好。
実験動物にでもなったかのような気分。
「スイッチを入れるぞ?」
球体から伸びた導線の先に付いたリモコンのような物を持って言う。
スイッチと言われても分からない私に、義父は何も言わずリモコンのボタンを押した。
「——————ヒッッッ!?」
次の瞬間、私の敏感な部分に取り付けられた球体が一斉に振動し始めた。
微細な振動が敏感な場所を刺激し、ブブブッと奇妙な音を立てる。
「——アウンッ!?——アァッ!!ンンッ!」
「ちゃんと動いているな」
私の様子を見て、満足そうにそう言った義父は、リモコンを私の腰の辺りに粘着テープで取り付け、
「お仕置きだからな。私が戻るまで絶対に外すんじゃないぞ」
押し入れの戸を閉めた。
「ヒッ、クッ......ンンンンンンッ、アァァァァアッ!!」
光の射さない真っ暗闇の中で、これまで味わった事のない刺激が全身を襲った。
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