翌朝、小鳥の囀りによって起こされた
麻衣の目覚めは、
最高であり最低であった。
というのもシルクの布団にふかふかのベッドの寝心地が思いの外素晴しく、
麻衣は夢も見ない程、深い眠りについた。
心身の疲れも取れ、目覚めとしては最高だった。
しかし、その後に何故自分がここにいるのかを思い出した時、最悪な気分になったのだ。
今日は細川が調教師を紹介すると言っていた。
それを考えると気持ちが落ち込まざるをえない。
これから自分がどんな運命を辿るのか想像すら出来ない。
その事もまた
麻衣の気持ちをへこませる要因の一つであった。
コンコン、
麻衣の起床を見計らったかのようにドアがノックされた。
「
麻衣様、お目覚めでしょうか?」
ドア越しの声は相変わらず機会的な冷たさを感じさせるものだった。
声だけで誰だか分かった
麻衣は、
「..........はい」
と憂鬱な気持ちを隠さず返事を返した。
「失礼します」
慇懃な挨拶と共に細川女史が扉を開き
麻衣の部屋へと入る。
麻衣の存在を確認すると細川は束の間、
麻衣の顔をジッと見詰めた。
それは何か、定期検診のような家畜の体調を確認するかのような無機質な目。
薄ら寒さすら感じさせる細川の視線に
麻衣は居心地悪そうに佇まいを直した。
「昨夜こちらにいらっしゃった時よりも顔色が良くなってらっしゃいます。よくお休みになられましたか?」
細川の問いに、
「ええ....まぁそれなりに....」
と
麻衣は答えた。
本当は虫の声も聞こえぬ程、熟睡していたが何となく
麻衣は嘘をついた。
その嘘に特段意味は無かったが何もかも見抜かれるというのは心情的に癪だった。
麻衣の言葉を特に気に留める事もなく細川は続ける。
「今日は
麻衣様の担当調教師に会って頂きます。その後のカリキュラムは調教師に一任してありますので指示に従って下さい」
「................. 。」
麻衣は無言でコクリと頷いた。
その後、細川女史は部屋にしつらえてある豪奢なクローゼットから、下着と洋服をいくつか見繕って
麻衣に手渡した。
「やはり
麻衣様は白のドレスが一番お似合いになるかと。ライトブルーやピンクも捨て難いですが...」
そう言って青山の表参道にショーウィンドウされているかのような純白のドレスを
麻衣にあてがい、ウウムと悩まし気に考え込んだ。
この時ばかりは
麻衣は細川に何やら嬉々とした人間的な雰囲気を感じ取った。
お人形さんの着せ替えをしているようで楽しいのかもしれない。
やられる方はあまり気持ちがいいとは言えないが......
とは言えクローゼットにズラリと並ぶ色とりどりの洋服群の数々。
麻衣の気持ちも多少浮ついていた。
女の子であればこれだけの洋服を前にして胸がトキめかない訳が無い。
一生着る事が無いかもしれない高価な服達が並んでいるのだ。
それは生地や装飾を一見しただけで分かる程、高そうな代物ばかりだった。
これだけの物をあっさりと揃えてしまう鷲男の財力に感嘆せずにはいられなかった。
結局細川は決め切れず、いくつかの洋服をベッドに並べ、
「外で待っておりますので支度がお済みになりましたらお呼び下さい。お手伝いが必要な時も呼んで下さって構いませんので」
それだけ言うと一礼して出て行った。
麻衣は細川が出て行ったのを確認すると、ずっと着っぱなしであった制服に手を掛けた。
その制服は首から下げているハート型のロケットと共に、持ち込みを許された
麻衣の数少ない持ち物の一つでもあった。
制服を脱ぎ終え、下着も全て脱いでいく。
お気に入りのブラジャーのホックを外し、ほっそりとした白い腕から抜き取る。
パンティーに手を掛け、これも白く細い足から抜き取っていく。
一糸纏わぬ姿となった
麻衣は、だだっ広い室内で、自分はこの世界で天涯孤独かもしれない。
そのような錯覚に陥り、心細さに襲われた。
麻衣は孤独感に圧し潰されないよう家族写真の入ったロケットを握り締めた。
目を瞑り思い描くのは家族の笑顔。
(私一人が犠牲になれば家族は救われる...)
その想いだけが
麻衣の心を繋ぎ止める唯一の支えだった。
昨日そのまま眠ってしまったせいで体がベトベトしてて気持ち悪かった。
麻衣は部屋に備え付けられているバスルームへと向かった。
着替えの前にシャワーを浴びる事は細川が部屋を出る際に了承を得ていた。
バスルームに入るとこれまた目も眩むような豪華な造り。
ピカピカに磨かれた金色の洗面台やフロア。
派手な装飾の施された全身鏡。
煌煌と輝く照明など、毎日小まめに手入れされている事が伺い知れた。
浴室はこれが個人で使うものなのかと疑いたくなる程、無駄に広かった。
大理石で作られた床やバスタブ。
足を真っすぐ伸ばす事も叶わない我が家と比べると泣きそうになる。
とりあえずシャワーだけ浴びたかった
麻衣は、バスタブの隣にあるシャワーへと近付き、銀色の蛇口を捻った。
すぐに熱いお湯が蛇口から溢れ、それをシャワーに切り替えると、
麻衣は胸元にその熱いお湯をかけた。
ツルリとした若々しい素肌を滑る様に水滴が流れ、体の芯を温めてゆく。
湯気が全身を包むその感触に
麻衣は小さくホゥっと溜め息を漏らした。
ほんとは頭からかぶりたい所だが乾かすのに時間が掛かる。
なのでなるべく濡らさないよう髪を左手で後ろに纏めた。
背中の中ほどまで伸びたサラリとした長い栗色の髪は麻衣の自慢でもあった。
(よく友達にも綺麗だねと褒められたっけ...)
今ではあの日常が遠い昔の事のようだ。
またあの日常に戻れるのだろうか?
そんな淡い希望を振り払うかのように
麻衣は体を洗っていく。
今はそんな事は考えるべきではない。
何故なら希望に縋れば縋る程、それが駄目だった時の精神的なショックは大きくなる。
そんな気がしたからだ。
麻衣は自身のまだ未成熟な胸に手を伸ばした。
麻衣の胸は決して大きい方ではなかった。
それがちょっとしたコンプレックスでもあったが、今後きっと成長してくれるだろうと希望的観測を持っている。
両の乳房を熱いお湯と共に洗っていく。
男性に触れさせた事の無い乳房はまだ少しの青い硬さを持っていた。
肩、腕、胸、背中、お腹と洗っていき、そのまま右手を滑らせるように下におろしていく。
やがてその手は秘部へと向かった。
そこには大人の証である黒々とした陰毛が茂っていた。
中学の頃から生え始めた陰毛は、未成熟な胸部と違い割合しっかりと生えている。
そのアンバランスな肢体は
麻衣がまだ発展途上の少女である事を示していた。
麻衣は汗を掻きやすいその股間に手を伸ばし、陰毛を片手でワシワシと撫で、陰唇の辺りもしっかり洗っていく。
この身体全てを穢されていくのかもしれないと考えると、
麻衣は震えずにはいられなかった。
一通り体を洗い終えると、
麻衣は清潔感溢れるバスタオルで体を拭くと、その体を覆い隠すように全身にタオルを巻き付けバスルームを後にした。
応援されると興奮、いや喜びます。
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